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目標達成シートの作成・活用方法をわかりやすく解説!成功事例も紹介

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企業と従業員の成長を促す「目標達成シート」の導入を検討する企業が増えています。一流アスリートが活用したことで注目を集めたフレームワークのため、目標の達成が期待される一方で、「目標の設定方法が分からない」「計画どおりにタスクを遂行できない」とお悩みの方も多いでしょう。

そこで本記事では目標達成シートの重要性や目標設定・計画立案の方法、日常的な利用方法を解説します。ダウンロード可能なテンプレートと、目標達成シートの活用に成功した事例も紹介しますので、ぜひ自社の目標管理にご活用ください。

目次

目標達成シートとは何か?

目標達成シートとは何か?
目標達成シートとは何か?

目標達成シートは、目標とその達成ステップを整理し、わかりやすく記録するツールです。始めに、目標達成シートの重要性とメリット・デメリットについて解説します。

目標達成シートの重要性と役割

「目標達成シート」とは、目標設定を明確にし、達成計画の進捗を追跡するためのツールです。達成したい目標と、達成に必要な要素を9つのマスに書き出すもので、「マンダラチャート」とも呼ばれ、その名前は形状が仏教の曼荼羅と似ていることから来ています。

マンダラチャートについては、以下の記事で解説しています。

目標達成シートを作成する主な目的は、目標の可視化です。目標が明確に見えていなければ、業務の方向性を誤り効率が落ちてしまうでしょう。しかし目標達成までの道筋をステップとして設定すれば、迷わずタスクに集中できます。

シートは「何を・どれだけ・いつまでに」達成するのかを明示し、達成度合いを一目で確認できます。進捗の現状を把握できれば、目標達成までモチベーションを維持・向上させ、達成確度を高めることが可能です。

目標達成シートのメリット・デメリット

目標達成シートを活用するメリットとして、目標の整理、計画の効率化、進捗の可視化、及びモチベーションの維持・向上が挙げられます。

また、アイデアを洗い出したいときに、目標達成シートならブレインストーミングと異なり、1人でアイデア出しが可能です。マスを埋めようと考えることで、思いもよらないアイデアが出ることもあります。さらにシートを書き出す作業により、目標の重要度や優先順位をつけられるため、効率的な計画遂行が可能です。

目標達成シートのデメリットとして、行動計画が詳細すぎる点や、マインドマップと比べての柔軟性の欠如が挙げられます。しかし、後述のポイントを参考にすれば、デメリットは軽減できます。

目標設定と計画立案

目標設定と計画立案
目標設定と計画立案

目標達成シートを作成する基盤は、明確で具体的な目標設定です。そして目標達成に向けて必要なステップと行動計画を考え、シートを作成します。

ここでは、目標設定と計画立案の手順とポイントを解説します。

目標達成シートを作成する前のポイント

目標達成シートを作成する前に、自分や組織のための明確な目標を設定しましょう。「なぜ今、その目標が重要なのか」「目標を達成した先にどうありたいのか」が明確でない場合、達成に向けて意欲を持続できません。達成する意義が明確な目標を設定する必要があります。

複数の目標があるときは、どれが一番影響が大きいかを考え、その目標から取り組むのが良いでしょう。

目標を設定するとき、達成できる期限を考えることも大切です。「いつか」と「いずれ」は実現できないといわれるように、期限を設定しないと実行を先延ばしにしてしまいます。目標設定の際には、実現可能な期限を設けることが大切です。

目標達成シートの作成手順

目標達成シートの作成は、以下の手順で行います。

  • 1. 目標の具体化
  • 2. アクションプランの策定
  • 3. タイムラインの設定
  • 4. 必要なリソースの特定

シートの中心に目標を記入し、そこから達成に向けて必要なステップを考えます。そのステップごとに、行動計画を考えるのが良い方法です。

行動計画を立てる際に、優先順位に従い、実行するタイムラインの設定を行います。実行の日時を定めたら、誰が・いつ・どれだけ携わればよいか、必要なリソースを明確にし、割り振りを考えましょう。

シート内で目標ごとの項目を整理し、進捗状況を記録しやすく整備することが、目標を上手に管理するポイントです。

目標達成シートの4つの要素

目標達成シートの4つの要素
目標達成シートの4つの要素

目標達成シート作成の流れを把握したところで、作成において大切な4つの要素を解説します。

1. ゴール設定「明確な目標の設定方法」

目標達成シートを作成する際に、明確な目標設定が必要です。いかに重要な目標でも、明確で具体的に設定されていない目標は、絵に描いた餅となりやすいです。

目標を具体化するために、「SMARTの法則」というフレームワークに目標を当てはめて設定しましょう。SMARTとは、以下の頭文字を取った言葉です。

  • Specific:具体的な
  • Measurable:計測可能な
  • Achievable:達成可能な
  • Relevant:関連性のある、利益につながる
  • Time-bound:期限が決められた

SMARTの法則を使用して、目標の内容、期限、意義を明確にすると、進むべき方向がはっきりします。

2. アクションプラン「目標達成のための行動計画」

目標設定をしたら、目標を達成するための行動計画を策定します。

まず目標を大まかな要素に分解してから、それぞれの要素に対し、具体的な行動計画を立てます。目標に関連する要素は、具体的な行動計画の策定や調整に役立ちます。

行動計画の策定時には、タスクの優先順位を考慮する必要があります。タスクを緊急度と重要度のマトリクスに当てはめると、優先順位が明確になります。「1. 緊急度も重要度も高いタスク」「2. 緊急度は低いが重要度が高いタスク」「3. 緊急度が高いが重要度は低いタスク」「4. 緊急度も重要度も低いタスク」の順で優先順位を設定するのがポイントです。

優先順位が決まったら、必要なモノ・事・リソースを明確にして確保しましょう。

3. タイムライン「目標達成の期限設定とスケジュール管理」

目標と行動計画が決まったら、期限を設定し、スケジュールを管理します。

最終目標の達成期限を決定したら、マイルストーンとして「KPI(Key Performance Indicator・重要業績評価指標)」を設定しましょう。KPIを設定することで、ゴールに対する進捗を可視化でき、問題や遅延が生じたときの軌道修正を行いやすくなります。

KPIの設定基準としてもSMARTの法則が有用です。KPIには期限を設け、数値で把握できる具体的な指標を設定しましょう。KPIを定期的に評価することで、計画の管理がしやすくなります。

4. リソースとサポート「必要な資源の確保とサポートの活用」

目標達成までの時間的な計画を策定できたら、計画遂行に必要なリソースを確保しましょう。適切な人員を確保しますが、適任者がいない場合は、必要なトレーニングや研修を行います。

設備やツールの導入が必要な場合もあります。リソースの確保のため、他部署との連携やサポートを早めに求めることが重要です。

目標達成シートのテンプレート

目標達成シートのテンプレート
目標達成シートのテンプレート

目標達成シートには多くの利用可能なテンプレートがあり、個人の目標やプロジェクトにあわせて選択できます。目指す目標の性質により、テンプレートを使い分けることがポイントです。

ここでは、一般的なテンプレートと各項目の分析・記入方法を紹介します。

目標達成シートのテンプレート紹介

代表的な目標達成シートのテンプレートとして「一般社団法人マンダラチャート協会」のものがあります。特徴として、達成度に応じて色が変わる点や、マス目での重要度表示が挙げられます。また、レーダーチャートでの視覚化も可能です。

同協会へメルマガ会員登録すれば無料でダウンロードできます。_}
(出典:マンダラチャート® テンプレート集

bizocean」のビジネス書式テンプレートにある「目標設定シート」は、中央の目標「テーマ」と周囲の目標A~Hをマス目の外にも明記する形式です。チームメンバー同士で目標を共有する際に適しています。
(出典:目標設定シート(マンダラチャート)|bizocean(ビズオーシャン)

個人目標には、「Template box」のようなカラフルな無料テンプレートがおすすめです。

サンプル目標達成シートの分析ポイント

ここで目標達成シートのサンプルを用いて、実際の作成と分析の方法を解説します。

3マス×3マスの枠を用い、中央に具体的な目標を記入します。具体的な目標が未定の場合、後で変更可能な形で暫定的に記入します。

今回は目標を「売上を2倍に増やす」と設定します。

サンプル目標達成シートの分析ポイント

次に、中央のマスに書いた目標「売上を2倍に増やす」を達成するための「必要な要素」を、周囲の8マスに書き込んでいきます。

中央の目標を分解し、抽象的に要素を設定すると、次の行動計画作成がスムーズです。もしアイデアが思い浮かばなかったら「〇〇するには?」と質問形で記入しておき、思い浮かんだときに答えを記入するとよいでしょう。

サンプル目標達成シートの分析ポイント

さらに8つの必要な要素に対し、8つの具体的な行動計画を設定します。ここでは「認知度を2倍に増やす」の要素に対し設定した、8つの行動計画を周囲に置きます。

サンプル目標達成シートの分析ポイント

マスを埋めた後、自己分析をして優先順位を設定します。効率的な目標達成のため、時間のかかるタスクから始めるのがポイントです。

目標達成シートの利用方法

目標達成シートの利用方法
目標達成シートの利用方法

目標を達成するためには、目標達成シートを日常に組み込むことが目標達成の鍵です。

ここでは、目標達成シートの日常への取り組み方法や、スケジュール管理方法、継続的なアップデートと改善方法について解説します。

日常的な取り組み方

目標を達成するためには、目標達成シートを完成させたことで満足せず、日常の行動に組み込むことが重要です。

シートには目標と行動計画が階層的に整理されているため、一見して日々やるべきことと進捗を把握することが可能です。計画どおりタスクを実践できているか、KPIをクリアできているかを日常的に確認し、改善すべき点がないかチェックしましょう。

目標達成シートは状況に応じて変更可能です。現状により適切な目標に置き替えることで、今後の改善と成長につながります。

スケジュール管理方法

目標達成シートを用いれば、日々のスケジュールを管理することもできます。

週間スケジュールでは、中心に1週間の目標、周辺に月曜日から日曜のタスクを記入します。 最後の1マスは、1週間のふり返りやメモに利用することが可能です。

チームのスケジュールでは、タスクの所要時間や人数を考慮しスケジュールを確認します。所要時間が多いタスクや事前準備が必要なタスクは優先して設定します。

タスク管理には、ToDoと進捗が見やすく解りやすい表示形式のシートを使うのがおすすめです。リマインドのために、ガントチャートなどのプロジェクト管理ツールと併用してもよいでしょう。

継続的なアップデートと改善方法

目標達成シートは一度作成して終わりではなく、目標の見直しや再設定が必要です。

定期的にシートの評価を行い、当初の目標設定が現状に則していなければ、目標自体を変更しなければなりません。例えば目標設定が高すぎて、達成不可能な場合は、実現可能な目標に修正する必要があります。期限よりも前に目標を達成できた場合にも、目標の上方修正が必要です。

ビジネス環境の変化で目標が不適切になる場合もあるので、目標の見直しを柔軟に行いましょう。

定期的なふり返りで、目標やKPIの達成状況と要因を検証し、必要に応じて更新します。ふり返りで以下のフレームワークを活用すると、現状分析と改善策の策定をしやすくなります。

  • KPT(Keep・Problem・Try):3つの視点からメンバーの意見を整理し、改善へと導く。
  • YWT(やったこと・わかったこと・次にやること):やったこと、わかったこと、次にやることの順に段階的に整理を行い改善する。最後に「メリット」を加えてもよい。
  • PDCA(Plan・Do・Check・Act):「計画」「実行」「評価」「改善」のサイクルを繰り返し、継続的な改善を図る。

なお、PDCAについては、以下の記事で詳細に解説しています。

目標達成シートの成功事例とユーザー体験

目標の性質に合わせた目標達成シートの適切な運用で、効率的に目標を達成できます。次に、目標達成シートの成功事例を紹介します。

SOMPOケア

Sompoケア
出典:Sompoケア

介護サービス提供事業者「SOMPOケア」では、従業員の目標設定に目標達成シートを活用し、ケアの質の向上を図っています。

従業員それぞれが「ご利用者様が満足した生活を送れるようにする」といった目標を設定。次に目標を実現するために必要だと思うことをシートに展開し、明確化していきます。従業員が自身の目標達成シートを作成した結果、日常業務1つ1つの行動を単なるルーティンではなく、意味を考えて取り組めるようになったとのことです。作成した従業員からは、次のような声も挙がっています。

「知って行動する方が有益だ」
「掲げた課題を達成できなくても、意識して取り組んだことで成長できた」
「介護への目標が明確になり、行動が容易になった」

同社では、個々の従業員がケアの質向上に向けての方向性が定まり、迷わず行動できるようになりました。

(出典:SompoケアSOMPOホールディングス

CASCAVEL SAPPORO U-15

札幌市の「CASCAVEL SAPPORO U-15」は、中学1・2年生向けに目標達成シートのワークショップを実施しました。

その結果、ほとんどの選手が開始前と終了後の意識とでプラスの変化がありました。目標と達成に向けてやるべきことが明確化し、自然に行動へと結びつけられるようになったそうです。また、作成を進めて行くうちに個々のモチベーションが高まり、シートにもう一段高い目標を追記する選手も増えました。

自分が決めたことを日々計画通り遂行することの大切さや苦労、やり切ったときや目標を達成したときの達成感を、皆が味わうようになったとのこと。結果的に、選手たちは目標設定と達成に向けた行動習慣を身につけることに成功しています。

(出典:北海道少年サッカー応援団 – チーム情報 / CASCAVEL 札幌 U-15 –

面川農場株式会社

面川農場
出典:面川農場

「面川農場株式会社」は、宮城県にある家族経営の農業法人で、首都圏に販路があります。

事業承継に際し、カウンターパートナーや独自の栽培技術、地域農業との結びつきなど、多くの検討課題がありました。そこで同社は課題の見える化や、強みの抽出および整理を実施。コンサルタントのヒアリングで定めた目標に対し、やるべきことを視覚化する手法として、目標達成シートを採用しています。

作成したシートをもとに、後継者として「何を・どれくらい・いつまでに」という観点で具体化し、10ヵ年の事業承継計画を作成しました。その結果、同社は承継すべき知的資産とやるべきこと、会社の強みや課題を再確認できました。

これは、目標達成シートをブランディングに活用した事例です。

(出典:面川農場

目標達成シートのポテンシャルと将来展望

目標達成シートのポテンシャルと将来展望
目標達成シートのポテンシャルと将来展望

多くの目標管理手法の中で、目標達成シートは視覚的かつ理解しやすく、今後の個人や企業の活用が期待されます。

若者の将来設計やビジネスだけでなく、ミドル・シニアの生活設計や子どもの能力開発、アスリートのメンタリティ強化など、目標達成シートはさまざまな用途での可能性を秘めています。ダイバーシティを重視するビジネス環境で、目標達成シートは多様な人材に適した目標管理手法として注目されています。

目標達成シートは従業員とチーム、全社での目標共有にも適しているため、近年適用が増えている「OKR(Objectives and Key Results)※」の設定・共有にも、活用されることが予想されます。さらに今後は、新事業のコンセプトの洗い出しにも目標達成シートが活用され、より多くのイノベーションが生まれるでしょう。

※OKR(Objectives and Key Results):企業と個人(従業員)の目標をリンクし、全従業員が同じ方向を向いて目標を達成するための管理手法。Intelに始まり、シリコンバレーの有名企業で多く採用されている。

「目標達成シート」に関するよくある質問(FAQ)

よくある質問
よくある質問
ビジネスでの目標達成シートの効果的な活用方法は何ですか?

目標達成シートは、個人でのアイデア出しにも適しています。行動計画の洗い出し・整理・管理をする目標管理シートとして活用できます。

また、1週間の予定を日ごとに書き出すスケジュール表や、優先度の高いToDoリストとしても使用できます。問題解決に向けた要素を洗い出す「問題解決シート」や、新商品のコンセプトを探る「新商品開発シート」としての価値用法もあります。

目標達成シートを効率的に管理できるアプリは何がありますか?

スマートフォンの目標達成(マンダラチャート)アプリは、階層ごとにタップして書き足すことができ、更新もしやすいため便利です。App Storeの「Grid ToDo Lite目標達成シート」やGoogle Playの「マンダラチャート公式アプリ」などが代表的です。

目標達成シートの成功に必要な要素は何ですか?

目標達成シートをうまく使うためには、進捗追跡のために、目標を具体的な数値で設定することが重要です。SMARTの法則に従い目標を設定すると、進捗の把握・追跡が容易です。

成功のためには、シートの運用を開始しても定期的にふり返りを行い、目標の見直しと再設定が必要です。

目標達成シートを使ってモチベーションを維持する方法は何ですか?

目標達成シートを使ってモチベーションを高め、意欲を維持するために有効な方法は、進捗を把握できるよう具体的な数値で目標を設定すること、シートの定期的な見直しをすることです。

実現性の低い目標は達成可能なものに変更し、早期達成した目標はレベルアップさせることで、モチベーションを維持できます。

まとめ

目標達成シートは、ビジネスやプライベートのさまざまな目標に対して活用できます。

目標達成シートのメリットは、アイデアの整理や目標・計画のステップごとの進捗の可視化です。多彩なテンプレートやアプリを手軽に利用できることも魅力です。

目標達成シートで計画を成功に導くためには、KPIの設定、定期的なふり返り、必要に応じた目標設定の見直しが不可欠です。

今回紹介したポイントを押さえ、個人とチームで目標達成シートを積極的に活用し、プロジェクトを大きく前進させましょう。

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